このたび、2020年4月1日時点の保育所待機児童数が明らかになりました。これによると、待機児童(いわゆる新定義、以下同じ)の数は24人となっています。近年、東久留米市では、保育園の新設により定員を拡大してきたことから、待機児童数は減少傾向にありますが、今年も待機児童ゼロは達成できませんでした。
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0歳 |
1歳 |
2歳 |
3歳 |
4歳 |
5歳 |
合計 |
2020.4.1時点 |
0人 |
21人 |
2人 |
0人 |
1人 |
0人 |
24人 |
2019.4.1時点 |
4人 |
13人 |
8人 |
2人 |
1人 |
0人 |
28人 |
2018.4.1時点 |
3人 |
22人 |
13人 |
0人 |
0人 |
0人 |
38人 |
1歳児の待機児童が21人も発生してしまった
公立保育園全廃計画の第一弾として市立しんかわ保育園の廃止につながる条例が2018年9月市議会で可決されたことにより、2019年春にはしんかわ保育園の0歳児の募集が停止され、今春はついに1歳児(定員15人)の募集が停止されました。
最も保活が厳しい1歳児の定員を減らす以上、1歳児の待機児童が出ることはあってはならないはずなのに、去年よりも多い21人もの待機児童が発生したことは、重大です。
なお、参考までに空き定員についても言及しておくと、0歳47人、1歳4人、2歳16人、3歳11人、4歳8人、5歳24人、0~2歳共通4人で合計114人です。
仮に0~2歳共通の空き定員を全て1歳にカウントしたとしても、1歳児の空き定員は8人で、待機児童数21人からこの8人を引いてもまだ13人残ります。つまり、仮に「どこでもいいから保育園に入りたい」と考える家庭であっても保育園に入れない1歳児が13人は出てしまうということです。
上の写真のように、市は2018年ごろから、待機児童数を発信する際に空き定員数も同時に発信するようになりました。「待機児童はいるが空きも出ている」と言いたいようです。しかし、保活が最も厳しい1歳児については、待機児童数から空き定員数を引いてもまだ児童数が残るという、市全体での枠自体が不足している状況を、今まで一度も解消できたことがありません。
しんかわ保育園の1歳児募集停止を予定通り行ったことが、この待機児童発生に繋がったことは、明らかです。
今春のしんかわ保育園1歳児募集停止をめぐる去年の経緯
このような事態は、去年から予想できていたことでした。
2019年5月、市は2020~2024年度の保育の「量の見込み」(保育需要予測値)を公表しました。それによると、2020年度の1・2歳児の「量の見込み」は966人となっていました。これに対して私たちは、しんかわ保育園の1歳児を募集停止すると、待機児童が50人程度発生すると指摘しました。(詳しくはこちら)
その後、7月になって市は1・2歳児の「量の見込み」を突然19人引き下げました。(詳しくはこちら)
また、8月に市は2020年4月の保育園新設計画を打ち出しました。1・2歳児の定員は37人増えるという内容でした。(詳しくはこちら。なおこれらの新設計画はこの春実現し、実際にその分定員は増えました)
私たちは、この確保方策自体は歓迎するものの、待機児童解消には依然不十分として、あくまでしんかわ保育園の1歳児募集停止を少なくとも延期することを求め、市や市議会各会派に働きかけを行いました。また、「東久留米市の子どもたちのために、しんかわ保育園の存続を求める請願」を、5778筆の署名を添えて議会に提出しました。
9月議会では、「量の見込み」の引き下げの妥当性について追及する意見が挙がりましたが、対する市からの説明は、私たちが納得できるものではありませんでした。(詳しくはこちら)
来春の待機児童ゼロの見込みを問う意見もありましたが、市は、「保育の量の見込みを上回る確保方策を示した」として、しんかわ保育園の1歳児募集停止を予定通り進める姿勢を崩しませんでした。
同じ9月議会では、待機児童解消を加速させるため、梶井琢太議員(未来政策フォーラム)により、しんかわ保育園の募集停止を1年延期する議案が提出されましたが、本会議で10対11で否決されました。(詳しくはこちら)
その結果が、今春の1・2歳児の待機児童23人です。
市長、いったいいつになったら待機児童ゼロになるのですか?
公立保育園全廃計画が2016年3月に公表されて4年が経ちました。私たちはこの間、しんかわ保育園の廃止をはじめとする公立保育園全廃計画をやめるよう訴え続けてきました。
2017年12月の市長選挙で再選された並木克巳市長は、選挙期間中「来春に待機児童ゼロの見込み」とアピールしました。それから数えてもう3度目の春ですが、いまだに待機児童は解消されていません。
私たちが公立保育園全廃計画に反対する理由はいくつもあるのですが(詳しくはこちら)、そのうちの一つとして、「待機児童がまだいるのにもかかわらず進めるのはおかしい」というものがあります。これに対しては、「公立保育園閉園は待機児童が解消されてから、待機児童が生まれないように民間保育園の定員を確保しながら進める」という趣旨の説明がなされてきました。多くの市民の方もそう思っておられるかもしれません。しかし、実際には、待機児童が解消しないうちからしんかわ保育園の募集停止は進められているのです。
東久留米市での待機児童発生は、他の自治体とは異なり、自らの政策としてしんかわ保育園の募集を停止して定員を減らした結果として起きていることから、「行政の作為による保護者の失業」と言うべきものと私たちは考えています。(詳しくはこちら)
市長自身が選挙期間中に主張した「来春に待機児童ゼロ」が、自らの政策により、いつまでも実現できず、保護者の失業を生みだし続けている状況。市長の責任は重大です。